ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ(3)「ユーマ・レベリオンズ・イン・オフィス」(通常版)

忍殺リプレイまとめはこちらからどうぞ。

こちらの記事は、Twitter上に掲載したニンジャスレイヤーTRPGリプレイを、一部修正、再構成の上で掲載したものです。

目次

1. ニンジャマスター禅譲
2. セッション本編
2-1. カニと01そして大鉄
2-2. あっちの邪悪、こっちの邪悪
2-3. サイバネ六門登場
2-4. 縛られざる者は縛る
2-5. ひらけ! 我が勝機!
2-6.『奴』のアンブッシュ
2-7. ふたたびの死神
2-8. 翻る反旗
2-9. イクサの価値は
■■■■次回予告■■■■
あと、肉バズるか?

1. ニンジャマスター禅譲

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リプレイ執筆開始な。

これまでのあらすじ
ソウカイ・ニンジャズのニュービーたち、通称サンシタ・イチミ。流れるような裏切りとドゲザののち、ソニックブームの指令を受けてヤクザ事務所を襲撃した彼らを待ち受けていたのは、爆発四散に加え、オイランを起源とする病魔であった。
病魔に倒れるラッキーキャンサー。

最も残虐なニンジャを欠くサンシタ・イチミは、しかしソウカイヤに逆らうニンジャ、シルバーカラスの殺害と、ヤモト・コキの拉致に成功するのだった。
そして中の人を、断続的なブラック労働が襲う。そんな彼らは、新たなニュービーを加えるのであった。

詳細は、下記の記事を読め。
第1回 チームサブスリー・ライジング・フロム・ドゲザ
第2回 ニンジャズ・ミート・スレイヤー

2019年2月28日。神奈川某所ニンジャスレイヤー同好会のライングループでは、次回ゲームに関する相談が進んでいた。そんな中、猛威を振るうブルータルヘッド(の中の人)。耐えかねたニンジャマスターが言った。
NM「もう、お前NMやれよ!」
だって、BHのアイデアは魅力的だったし、パクるのも嫌だったから……。

BH「いいよ?」
NM交代の瞬間であった。
旧NMに一抹の不安がよぎる。TRPG経験には旧NMに一日の長があるが、ニンジャスレイヤーという作品の理解はBHに遠く及ばず、BHにはPCやツイートからは想像もつかない仕事の丁寧さがある。これは、普通にNMとしての品質で負けるのでは?
……そして、懸念は的中するのであった。

初回はスシ、2回目はピザ、3回目はどうするよ? という問題提起に対しては、BHを中心とした「ニク!」が満場一致で採用され、あれも食いたいこれも食いたいという談義が交わされたことだけ、ここでは書いておく。肉自慢は、本編執筆が完了した暁に。

2. セッション本編

2-1. カニと01そして大鉄

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かつてグレーターヤクザの事務所であった、サンシタ・イチミの拠点。そこに訪れる影があった。カニめいたシルエットは、その特異な見た目にも関わらず、周囲の注目を集めることなく事務所へのエントリーを成功させた。
オイランとの前後の病魔の入院の直後のラッキーキャンサーであった。
LC「まったく、酷い目にあった」

インガオホー! インガオホー!

さらに訪れるソウカイヤの家紋タクシー。乗りつけたのは、おお! 見よ! ソウカイシックスゲイツスカウト部門 ソニックブーム(SB)と、まだ見ぬニンジャであった。
SB「テメェラ! 励んでるか!? 新しいオトモダチだぜ? 自己紹介!」
「ドーモ、ソウカイニンジャ=サン。レイワンです」

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青いシノビ装束を身に着けた、新たなニュービー。旧ニンジャマスターの作成したニンジャである。じゃあくロールプレイでもおもしろロールプレイでも実はこいつらに勝てないと考えた旧NMの苦肉の策とか、ウケ狙いの時事ネタとかいうことは一切ない。いいね?

たぶん、「元号が変わった瞬間、俺地球にいなかったー!」とかジャンプしてる間にニンジャソウルが憑依したのだろうなぁ。

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そして、もう一人のニンジャがやってきた。
SB「自己紹介!」
「ドーモ、私の名前は、アイアンビッグ=サンです」
大柄なニンジャは、なんと自分の名前にサンを付けた! なんたる自尊心か!
……自尊心か? 自尊心由来なのか? そうでもない感じがする。

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アイアンビッグ=サンの中の人は、初回セッションで爆発四散したイダテンフット=サンの中の人である。2回目はオシゴトで不参加だったのだ。「IF」から「IB」への変遷は、ランクアップっぽくも見える。

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レイワン(01)はニューロン自慢、アイアンビッグ(IB)はカラテ自慢のニンジャであった。確か、どちらも最大値5くらい。細かいことは気にしなくていい。「森を見るために木は邪魔である」というのは、かのミヤモト・マサシの格言にもあるとおりである。

その場に居合わせたニンジャは、アノーニマス(AN)、ジゴクランナー(JR)、ラッキーキャンサー(LC)、ブルータルヘッド(BH)であった。ブルータルヘッド君は、休暇による成長フェーズだけ参加。

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「ホワイトカタナ=サンは?」
「奴は、仕事さ……」
「あんなに、ホワイト労働に憧れていたのにな……」
「『ハタラキカタカイカク!』は、悲痛ですらあったよ……」
今回のホワイトカタナ=サンはお休みです。

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AN「また、いきの良いのが入ってきましたか、まぁ、教育してあげましょう。」
アノーニマスは、新入りにニューロンで優っている(6)からと、あからさまに先輩風を吹かせた!
ウザイ!
01「ハイ! センパイ! オネガイシマス!」
01のキャラ付けは不安定であった!

2-2. あっちの邪悪、こっちの邪悪

彼らが突入したのは、楽しい楽しい休暇である。
1日ミッションをこなして4日休みとはナメトンノカと考えたこともあったが、全力で自己研鑽(修行)と副業(モータルハント)に励まないとならないソウカイニンジャの労働環境は、実際ブラックであることに気付いた。
ビバ10連休!

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NM(セッション中、断りなしにNMと記載した場合、BHの中の人を指す)「で、休暇どうする?」
全員「とりあえずモータル」
NM「とりあえずナマみたいに言うなよ……」

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フタリグミツクッテ!
抽選の結果、初日のマップ付きモータルハントに向かうペアは、ジゴクランナーとラッキーキャンサーのカニトヘビコンビ、アノーニマスとアイアンビッグの知力格差コンビ、ブルータルヘッドとレイワンの新旧NMコンビとなった。

JRとLCが訪れたのは、やっぱりカチグミ・サラリマンが多く訪れる繁華街。
3人ずつ、6人のモータルがふらふらと歩いていた。
「このまえハケンのネーチャンガヨー、私の権限じゃこの仕事できませんとかイウンダヨー、ジギョーブチョー印借りてきて押すくらい、黙ってやっとけよー」
「ソウデスネブチョー」
「ソウデスネブチョー」
なんたる邪悪か。

「シャーッ!」
ジゴクランナーの右腕は元気であった。彼の右腕はコブラであった。
JR「よしよし、腹いっぱい食わせてやるからな」
LC「病み上がりで調子でねぇなぁ……ウォームアップしないとなぁ……ヒヒヒ」

2組のモータルに、それぞれ1人ずつのニンジャが襲い掛かる!
「「イヤーッ!」」
「「「「「「アイエエエ!? ナンデ!? ニンジャナンデ!?」」」」」」
モータルはニンジャ・リアリティ・ショックに襲われ失禁した。
「シャーッ!」
コブラも襲い掛かった!

なお、今回のNMも「ブチョーチャレンジ」を採用した。モータルは1人あたり2枚の万札を所持しているが、殺害時に1d6を振り、5以上が出たらそのモータルは「ブチョー」である。4枚の万札を持っている。
ブチョーは、1ペアのニンジャごとに、先着1名しか存在しない。

LC「イヤーッ! 連続側転!」
LCの2度目の連続側転はウカツ!
LC「ウググ……キサマ! よくもー!」
「アバーッ!?」
モータルは完全にとばっちりであった。

JR「オハーシッ!!」
「シャーッ!」
「アバーッ!?」
スプリンクラーめいた死体となったモータルの胸元から、金属製のバッジが落ちた。
JR「こいつ! ブチョーだ! たんまり持ってやがる!」
ジゴクランナー、ブチョーチャレンジ成功。

意外と粘った(攻撃が外れた)モータルが発生したものの、取り逃がすこともダメージを追うこともなく、一組目のモータルハントは終了した。

2組目は、アノーニマスとアイアンビッグ=サンであった。
「今日、新入社員が入ってきたからヨッ! オレは言ってやったんだヨッ! オベンキョーなんて実社会では役になんて立たないんだヨッ! 全部忘れてデッチボーコーしてなんぼなんだヨッ!」
「ソウデスネブチョー」
「ソウデスネブチョー」
なんたる邪悪か。

「「イヤーッ!」」
AN・IBはそろってアンブッシュ位置からの連続側転!
IBはワザマエ2しかないのに、ANはANなのに、まさかの成功!
「アイエエエ!? ナンデ!? ニンジャナンデ!?」

AN「ひ弱なモータルどもが! ちょっとセンタ試験でうまくいったからって!」
ANの口調も、ほどほど不安定であった。
たぶんセンタ試験でうまくいかなかった過去を持つアノーニマスのハンドガンから、凶弾がモータル達を貫く!
AN「1人!」キャバーン!
「アバーッ!」
AN「2人!」キャバーン!
「アバ-……アバ?」
貫かなかった。ANはANであった。

そして、アイアンビッグがモータル達の前に躍り出た。
IB「ドーモ、アイアンビッグ=サンです」
「「ア、アイエ……」」
モータルはアイエるのが精一杯であった!
IB「ドーモ、アイアンビッグ=サンです」
「「ア、アイエ……」」
モータルはアイエるのが精一杯であった!
IB「アイサツ……」

IB「アイサツ……シテルノニー!!」
怯えるモータルの態度が、IBの逆鱗に触れた! 両手を頭上で握ったIBは、そのままモータルの頭上に拳を振り下ろした!
頭蓋骨は陥没し、頭蓋骨はアスファルトに陥没! サツバツ!
「アイエエエ!? ブチョー!!」
殺害したモータルはブチョーであった。

サツバツ! IBはブチョーボーナスとサツバツボーナスで、計4枚の万札を得た。そして、6のDKKを得たのであった。Wasshoi!

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「殺戮者のエントリーか!?」
NM「よし、振れ」
IB「アイエエエ……」
 (ころころ) 「2d6dで、1ゾロの2だ」
NM「DKKより低い値か。命拾いしたな」
ブッダ寝てた! というか俺が寝てた! 気付かなくてゴメンネ! DKKより「低い」と忍殺登場だよ!
ブッダが寝てたおかげで、ハントは順調であった。

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最後の一組は、ブルータルヘッドとレイワンである。
「オマエラコンド、休日に俺んちの庭でバーベキューやるぞ!」
「はいー……」
「バーベキュー大好きです……」

「オマエラも休日はゴルフくらいやれよ」
「はいー」
「ゴルフ楽しいです……」
なんたる邪悪か。

ニューロンに勝る01が、先んじてモータルに肉薄する。
01「イヤーッ!」
「アバーッ!」
良かった……。初回の連続側転もカラテも失敗しなかった……。ANをリプレイでいじりまくってきた手前、初回だけは成功させたかったんや……。

BH「よし! ソニックブーム=サンの舎弟でもある俺が、ニンジャのカラテを見せてやる!」
01「ハイ! センパイ!」
BH「イヤーッ!」
BHのカラテがモータルを掠める!
「ア、アイエエエ……」
BH「これがニンジャの脅し方だ」
01「これがニンジャの脅し方かー」

そして、ブチョーチャレンジに成功したのは01。
01「レイワガンネン!」
「アバーッ!」
「ブチョー! ブチョーナンデ!?」
01の拳がモータルの腹を貫き、01の右半身が赤く染まった。
01「こいつブチョーか! たんまり持ってやがる! ……装束、いい色になってきたじゃねぇか」

BH「イヤーッ!」
「アバーッ!」サツバツ!
BH「イヤーッ!」
「アバーッ!」サツバツ!
BHは2回のサツバツを決めたが、万札は増えず、DKKが増えるのみであった。

モータルハントは終わった。モータル達の尊い犠牲は、修行に成功すればニンジャたちの血肉になるが、修行に失敗すると完全に無駄だな!
残りの休暇日程は、おのおのカラテやワザマエを成長させることに費やした。
なお、BHのカラテ修行3連ガチャは爆死であった。
ANは、サイバネを追加してハンドガンでマルチターゲットできるようになった。金銭投資だけでサイバネ追加させたのも、ブッダが寝ていた気がする。

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NM「アジトには『ミニオン』を設置できるよ。オイランとかイタマエとか。この前確保してたよな」
LC「持ってる!」
NM「アジトの一室で客を取って、万札を生産できるな」
01「なんで忍殺にバレるペナルティなしに、アジトで客とれるんだろうな」
LC「モータルハントとミッション以外で収入重点!」

01「共用アジトの場所代はー?」
AN「場所代はー?」
JR「シャー」
LC「じゃあ、収入のうち万札1枚をパーティ資産にしよう」
相談は丸く収まった。

2-3. サイバネ六門登場

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ブイーンブイーンブイーン。
アジトのUNIX端末が、IRCメッセージを受信したことを告げる。アノーニマスは、ソウカイヤからの連絡であることに気付き、アジトのメンバーを呼び出した。UNIX端末に、ソウカイニンジャの姿が映し出される。
「ドーモ、ダイダロスです」
サンシタたちは、思い思いにドーモした。

やってきたニンジャは、アノーニマス(AN)、ラッキーキャンサー(LC)、ジゴクランナー(JR)、アイアンビッグ(IB)、レイワン(01)である。ホワイトカタナはクロームハートの不具合で不在。ブルータルヘッドはガチャ爆死のショックで寝込んでいた。

ダイダロス(DD)「ヨロシサン製薬でバイオニンジャが暴走しています。ソウカイヤの協力者を救出してください」
バイオニンジャとは、ラオモト・カンが放棄したニンジャを、バイオ技術を使って人工的に強化するという狂気の実験の産物である。

ヨロシサン製薬オダワラ支部で、バイオニンジャが脱走し、支部を占拠したというのだ。ALAS! なんというマッポーインシデントであろうか。
支部長のタナカがケジメを恐れて通報を遅らせ、事態が悪化した。しかしタナカにはまだ利用価値がある。サンシタたちに命じられたのは、タナカと秘書の救出であった。

LC「ダイダロス=サン、現場に女はいますか?」
DD「いると思いますが……」
LC「ハイヨロコンデー!」
コワイ!

アノーニマスはUNIX端末に向かい、現地の様子をハッキングした。ヨロシサンを占拠しているバイオニンジャは二人。名前は「グリーンサウルス」と「レッドイエティ」である。前者はカトン・ジツの、後者はヘンゲヨーカイ・ジツの使い手であることが分かった。
AN「私にかかれば、この程度お手の物ですよ」
タツジン!

ハッキング情報はこれだけではない。グリーンサウルス(GS)とレッドイエティ(RY)に拘束されているのは、支部長のタナカと、その秘書であることも判明した。
01「サスガデス! センパイ!」(これはお手柄ダナー、俺が先にハッキング仕掛けとくんだったな)

こうして、サンシタ・イチミはヨロシサン製薬オダワラ支部に突入した。

2-4. 縛られざる者は縛る

捜索対象は、広めのワンフロアである。漢字の「田」の形状に通路が走り、通路に囲まれた4つのブロックに、それぞれ複数の部屋が収まっている。また、部屋には出入口以外、天井のダクトからも通路との行き来が可能であった。

突入したフロアの入り口は、東側通路、南北では中央の位置である。また、北西の隅にも非常口があり、フロアとの出入りが可能であった。
フロアに入ったサンシタたちが目にしたのは、見張りをしている2人のクローンヤクザであった。
AN「ここはチテキな私が!」BLAM! BLAM!
ANがハンドガンを連射した!

「「グワーッ!」」クローンヤクザは、ヤクザスラングを叫ぶ間もなく絶命!
イチミの正面、フロア中央から西に伸びる通路にもクローンヤクザのペアがいたが、探索を優先するイチミは無視することにした。

01「ワンインチ先はダークネス。1人で行動するのは避けたい。一塊も非効率だから、足の速さ基準で2組くらいで行動したらどうだ」
移動力は、01とLCが2、BHとJRが3、サイバネを追加したANは4になっていた。連続側転すると、格差はかなり激しい。鈍足組の01とLC、残りの3忍が組になることが決まった。

ヤクザを倒したANの次に動くのは、鈍足組の01である。「イヤーッ!」01は、直近の部屋の探索を断念して奥へ向かう。南西ブロックに向けて連続側転を実行した!
「イヤーッ!」高速組のニンジャは、東側通路沿い、南東ブロックに移動を開始した。

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LC「NM、NM」
NM「ナンダイ?」
LC「南東ブロック、高速組が入ろうとしている部屋の手前にも部屋があるけど、これはなんだ?」
NM「トイレだな」
LC「女子トイレか?」
NM「は?」
LC「女子トイレか?」
LCは最初からクライマックスであった。

NM「そんなのどうでも……」
LC「どっちだ?」
沈黙。
NM「……女子トイレ判定。難易度ノーマル。1d6で4以上なら女子トイレでいいよ……」
『女子トイレ判定』というコトダマ誕生の瞬間である。
LC「……よし! 4だ! 女子トイレ!」
しかも成功しやがるし……。

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LC「こっちがアヤシイ! 俺はこっちを探索するぜ! イヤーッ!」
LCは、01を放って明後日の方向に連続側転し始めた!
01「ちょ! ま! どこに行く!」
LC「そっちもガンバレ!」
一寸先はダークネス!
LCは、トイレの中ですすり泣く声に気付いた。

LCは、トイレを開けた。中では一人の女性職員がサメザメと涙を流していた。

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LC「こいつの名前は?」
NM「え? そんなの決めてない……」
LC「名前は?」
NM「……ええい! シブノヤ・リンコだよ!」

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「ふーん、あんたが私の救出部隊? まぁ、悪くはないかな」
コトダマ! 女性職員から、先ほどの涙は瞬く間に蒸発していた!
名前は心を形作る。ネオサイタマの神秘であった。

LC「そうだぜ。俺たちは、お前たちを助けに来てやったんだぜ。なにか起きてるか教えてもらおうか」
シブノヤリン(SSR)「この施設を占拠してるのは、GSとRY。GSは腕のエナジーボールを消費して、精神力を使わずにカトン・ジツを行使できるの。RYはヘンゲヨーカイ・ジツの使い手だよ」

LC「ほかには?」
シブノヤリン(SR+)「あいつらが立てこもってる……いや、あいつらの脅威なんていないから、立てこもってるは違うかな。あいつらがいるのは、北西端の部屋。そこに、タナカ支部長と秘書も捕まってるよ」
LC「ナルホド」
シブノヤリン(SR)「それで、私はどこに逃げればいいの?」

LC「オツカレサマデシター!」
シブノヤリン(SSR+)「ンアーッ!」
タツジン! ワザマエ判定に成功したLCは、哀れな女性職員を、目にも止まらぬ速さでスマキにした!
シブノヤリン(SSR+)「Pー! ガガガ!」

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NM 「えー……?」
01「えー……?」
「新旧NMがひいてる」
「NMをやると、PCの行動にひくようになるのか。神秘だな」
NM「スマキ抱えてる間は、全ての行動判定が難易度1つ上昇するからな……」

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同じころ、アノーニマス(AN)、ジゴクランナー(JR)、アイアンビッグ(IB)の高速組は、南東ブロック北側、レイワン(01)より手前の部屋に突入した。ANは部屋の入口でトラップを検知! 解除(難易度NORMAL)に成功して先行した。初歩的なワイヤートラップだ! ニンジャにはベイビーサブミッション!

部屋の中には、ヨロシサンの女性職員が一人。
「ア、アイエエエ!? ニンジャナンデ!?」
IB「ドーモ、アイアンビッグ=サンです。助けに来ました」
「ソ、ソウカイヤからの助けですか!?」
IB「ソウデス」
「ドーモ、アシナ・ヤマダです」
にこにこ。びくびく。
ゴウランガ! 暴虐なニンジャとモータルのコミュニケーションが成立した!!

JR「アシナ=サン、お前は何を知っている? ここでは何が起きている?」
アシナ「アイエエエ!? コブラ!? コブラナンデ!?」
それ以上イケナイ!!
JR「コブラナンデ、だと?」
JR「いいから知っていることを話せー!!」

「ア、アイエ!!」
「施設を占拠しているのは、グリーンサウルスとレッドイエティという2人のバイオニンジャです! いるのは北西端の部屋です! これでよろしいでしょうか!!」
アシナは精一杯の情報をJRに伝達した。
JR「そんなことは知ってる! お前はコブラのエサだー!!」
アワレ! アシナの体は胸の辺りで生き別れだ!

IB「ヒドイ……。せっかくアイサツしたのに。えーと、誰だっけ?」
アシナの名前は、アイアンビッグ=サンの脳内からはかき消えていた。挨拶から今まで、IBは2歩は歩いていた。名前を憶えているわけはない!

そのあとも、南東ブロックにおける高速組の暴虐は続いた。
JR「その程度は知っているわー!」「アバーッ!!」
IB「いくら持ってる? ありがとう。もらうね」「アバーッ!!」
2~3人ならカロウシで済むが、そろそろまずいことになりそうである!

01は、孤立無援で必死に連続側転を繰り出しながら、クローンヤクザをスリケン排除して通路を進んでいた。鈍足ニンジャには、トレジャーを漁る時間的猶予もないのだ!
「あのバカカニめ……!!」
クローンヤクザは万札も持たされていない。生体LAN端子の借金返済だけでも、もう少しカネが必要なのだ!

01との作戦を裏切り、女性職員をスマキにしたラッキーキャンサー(LC)は、意気揚々と移動を再開した。
LC「イヤーッ! 連続側転!」
ウカツ! 抱えたスマキで難易度が向上! LCは連続側転に失敗した! トイレで派手に転倒!
LCは、ソレデモスマキヲハナシマセンデシタ。

01が南北に走る中央を経由して南端についたころ、南東ブロックの探索を終えた高速組も中央通路に到着していた。なんたる脚力格差か! JRとIBは、南西ブロックにある南北2部屋のうち、南部の部屋に突入した!
「「ハッキョーホー!」」
「イ、イケ! 私を守れ!!」

部屋にいたのは2体のバイオスモトリと、指示を出すヨロシサン職員であった。
パワー系ニンジャ2人とバイオスモトリの戦闘が開始され、他のニンジャも行きがけの駄賃にスリケンを投げ入れていく。数度の攻防があった。
サツバツ! JRがバイオスモトリの急所を破壊!
サツバツ! IBがバイオスモトリの眼球を破壊!

「ブモーッ!!」「アバーッ!!」2人のバイオスモトリは倒れた。ヨロシサン社員へのインタビューが始まる。
JR「知ってることは」
「GSとRYが占拠してて」
JR「そんなことは知ってる!」
JR「もういい! 万札寄越せ!」
5万札のカツアゲ。これでも彼は幸運なのだ。

そのころLCは、スマキを抱えて隣の部屋に入っていた。
LC「どれどれ……?」
「ピー、ガガガ。ドーモ、ワタシハ、ヨロシサンの試作型、モーターヤブです。ロールアウト重点で、性能は、既に完璧に近い」
体力8、カラテワザマエ5に加えて、マシンガンで武装した試作型モーターヤブだ。LC1人では歯が立たない!

LC「ドーモ、モーターヤブ=サン。LCです。バイバイ」
LCは通路に逃げ出した。そこに、高速組、1人だけの鈍足組が合流した。
LC「ヤバイのがいるぞ。モーターヤブ」
「「「「「イヤーッ!!」」」」」ニンジャが一斉に部屋にエントリー。協力した彼らの前に、モーターヤブも敵ではなかった。

なお、1人「連続側転による難易度上昇とともに、スマキを抱えているペナルティのため、難易度ULTRA-HARDのスリケン投擲」によって「協力」していたメンバーもいたことは書き残さねばなるまい。成果があったかどうかは、読者の皆様にニンジャ動体視力があればお分かりのはずだ。

「アイエエエ!? ニンジャナンデ!?」
モーターヤブで身を守っていた職員へのインタビューが開始された。
「ソウカイヤから来た救援だ! 知っていることを話せ! タナカ=サンはどこだ!」
「わ、私は課長のハラダです。タナカ支部長は、北西ブロックの部屋で、秘書のホンダ=サンとともに捕まっています」

「そこにいるのは、GSとRYというニンジャで」
AN「それはもう知っています」
「GSは特殊なカトン・ジツを、RYはヘンゲヨーカイ・ジツを使います」
AN「それはもう知っています」
「私の持っているマスターキーで、あの部屋の扉が開きます」
AN「それはもう明きました」

ANは、南東ブロックのUNIX端末で、立てこもり部屋のロックを解除済みであった!
「ア、アイエ……」
AN「私たちはー、あなたを助けに来たんですよー。ろくな情報も出さないで、まさか、タダとは言いませんよねー」
「ア、アイエ……!! これでどうかご勘弁を! 有り金全部です!」
7万札! ANは懐に収めた。

北西ブロックに向かうニンジャたちは、相談を行った。ここまでに集めた情報によると、RYはヘンゲヨーカイ・ジツを使った際に連続攻撃(複数回の回避要求)ができるらしい。2人の敵ニンジャに協調されると、局面は非常に危険になる。こちらの戦力を分散してでも、2人を分断するべきであった。

2-5. ひらけ! 我が勝機!

決まった作戦は、ノブセリ・フィッシング。まずは部屋に出入りして、RYとGSの片方を部屋からの釣り出す作戦であった。部屋の裏側にも、ダクトから出入りする別動隊を残しておき、両方が部屋を留守にするならば、別動隊がタナカを救出するのだ。

正面から攻め込む本隊はAN、JR、01。裏に控える別動隊はLC、IBである。本隊の「釣り餌」は、誰になるのだろうか。
01「さすが俊足のセンパイ! かっこいい!」
JR「やっぱり、エースであるお前しかいないよなぁ」
AN「そ、そうか? このエースのカバーは頼むぞ?」
ちょろいANであった。

ANが部屋に突入する! そこで彼が見たものは。
「ほら、チャレンジだよ、チャレンジ!」
楽しそうに言う緑色のシノビ装束のニンジャ。
「ここまでもだいぶ粘ってますぞー」
間延びした声の、赤いギリーシノビ装束のニンジャ。
「アイエエエ」吊るされる男。
「……!」縄を咥えた豊満な美女であった。

美女が咥えている縄は、猿ぐつわではない。むしろ、口から飛び出していこうとする縄を、必死に噛みついて口にとどめている。その縄がつながる先は、男が吊るされた縄そのものであった。男の下には巨大な剣山。美女が縄を放せば、男はヤキトリめいた死体になることだろう。

美女は、驚異的な根性で、男の体重を支えていた。しかし涙で化粧は崩れ、縛られた体は震え、限界が近いことは明白であった。男がタナカに間違いない。

AN「ドーモ、ソウカイニンジャのアノーニマスです」
「ドーモ、アノーニマス=サン。グリーンサウルスです」
「ドーモ、アノーニマス=サン。レッドイエティですぞ」
アイサツをしたANは部屋から退避!
GS「ム……RY=サン、追ってよ」
RY「ガ……仕方ないですな」

RYが、ANを追って1人部屋を退出! 閉まるシャッター!
RYを3人のニンジャが囲んだ!
「「ドーモ、RY=サン、ソウカイニンジャの<ガヤガヤ>です」」
「ドーモ、ソウカイニンジャ=サン、RYですぞ」
ニンジャのイクサが始まった!

RY「キサマラ、タナカ=サンの救援ですかぞ」
AN「その通り! イヤーッ!」
スリケンが、カラテが、RYを襲う!
RY「イヤーッ! ヘンゲヨーカイ・ジツ!」
3対1だが、実際互角!

そのころ室内では。
キャバーン! ダクトから二つの影が落ちてきた!
LCとIBのエントリーだ!
「ドーモ、ラッキーキャンサーです」
「ドーモ、ワタシハアイアンビッグ=サンです」
「ドーモ、グリーンサウルスです。お前らもソウカイヤのニンジャか!」
IB「そうです」
GS「うるさいニンジャだなぁ」

そのころ通路では。
もぞもぞ。もぞもぞ。
スマキ(SSR)がうごめいていた。
「P-! 助けてP-!」
声はくぐもっていた。

RY「ヘンゲ!」「ヨーカイ・ジツ!」
連続カラテがJRを襲う!
JR「イヤーッ! コブラカラテ! オハシへの憧憬を添えて!」
カウンターカラテすら織り交ぜながら、JRが反撃する!
01「新時代スリケンをくらえ!」
AN「チテキな連射!」BLAM! BLAM!
さすがにRYもジリー・プアー!(注:次第に苦しくなる)

体力が残り少なくなったRYと、結局はダメージをほぼ受けていないサンシタ本隊。
RY「GS=サン! GS=サン! ワタクシの命が危ないですぞー!」
たまらず、RYはもといた部屋に駆け込んだ。
そこには、ニンジャが繰り広げる死闘と、すすまみれのサラリマンが転がっていた。

時間は、数十秒前に遡る。
別動隊として部屋に現れたLCとIBは、仕事を開始した。秘書のホンダ・ウヅキ=サンは豊満であったが、保護対象なのでスマキできなかった。LCが無念そうに舌打ちする。
IBは段取りをもった行動が困難である。LCは実質的に、まさかのチームリーダーであった。

男を庇うのは楽しくないが、ラオモト=サンの覚えが悪くなるのは非常にまずい。
LC「イヤーッ!」
LCは、タナカの足元の剣山を蹴飛ばした。剣山は勢いよく回転しながら吹き飛び、壁に突き刺さった!
タナカ「うげっ!」
秘書のホンダが縄を放し、タナカは落下した。ホンダは声を上げて泣き出した。コンジョウ!

IB「ドーモ、ワタシハ、アイアンビッグ=サンです」
IBがアイサツするが、ホンダは話せる状態ではない!
LC「IB=サン、その人はホンダ=サンだ! 腕の縄を切って天井のダクトに押し込め!」
IB「ダクトに入れればいいのか?」
IBがホンダに声をかける。ホンダはおびえながら、がくがくと首を縦に振る。

LC「タナカ=サンも、ダクトに潜り込め!」
消耗しきったタナカは、GSとLCの間にいる。ダクトはLCの背後、IBの近くだ。コワイ!
タナカ「アイエエエ!? ア、アイエエエ!」
タナカは走り出した。
GS「邪魔するな! カトン・ジツ!」
タナカとLCを効果範囲に巻き込んだカトン・ジツ!

LCは回避! タナカは「アイエエエ!」回避できるわけもなく。しかし、タナカの体力はモータルとしては大健闘の3! カトン・ジツのダメージは1! タナカはすすまみれになりながらも、まだ生きていた。
RY「GS=サン! GS=サン! ワタクシの命が危ないですぞー!」
そこに、傷だらけのRYが駆け込んできた。

AN「チテキな私がカラテで!」
ANが、適性を無視してカラテでとどめを刺さんと、RYに攻撃した。ドロップ万札(5)の確保が目的であった。しかし、RYも必死でかわす。(解説:AN の攻撃はターン最初なので、回避ダイスをつぎ込める) 01「とどめを!」
01の連続側転からのスリケン投擲は失敗!

IB「ドーモ!」「ワタシハ!」「アイアンビッグ=サンです」「イヤーッ!」
RYを襲ったのは、秘書のホンダをダクトに押し込んでから肉薄した、IBであった。秘書のバストに、ダクトは窮屈であった。
RY「アバーッ! サヨナラ!」
RYは爆発四散!

GS「RY=サンはだめか。相変わらず、食いしん坊なばっかりで使えないなぁ」
GSがジュー・ジツの構えをとる。
GS「ホンキ・ニンジャクランのホンキ、見せてあげるよ!」

とはいえ、シューカイテキセズ! 集会のような多数の人間を同時に相手にしてはならないという、平安時代の格言である。GSは追い詰められつつあった。
その時である。
「ジェロニモ!!」
ダクトから、新たなニンジャがエントリーしてきた!

2-6.『奴』のアンブッシュ

奇妙な笠をかぶり、マチェーテを構えたニンジャ。
「ドーモ、フォレスト=サワタリ(FS)です。バイオニンジャはサヴァイバードージョーの同胞! こちらに渡してもらうぞ!」
ソウカイニンジャに動揺が走った。FSは明らかにツワモノの気配。無視するか、攻撃するか、交渉するか。決めねばならない。

主に命じられたのはタナカの救出とはいえ、ここでGSを取り逃がしてはソウカイヤの敵をむざむざ逃がしたことになる。ラオモトからのケジメが恐ろしい。
選択は、無視。
01「問答無用! レイワガンネン! イヤーッ!」
01の投擲したスリケンがGSに命中する。GSは倒れた。(体力0)

FS「ジェロニモ! おのれ、薄汚いベトコンめ!」
FSは、偽りのベトナム戦争の記憶に取りつかれていた。背中からバイオバンブーの槍を取り出す。バイオバンブーは、鋼鉄をもしのぐ硬度を誇るのだ!
GSの倒れた今、FSに集中できる。
サンシタたちは蜂球めいてFSに群がった!

FS「イヤーッ! イヤーッ!」
FSがJRに攻撃する。FSの攻撃は2連続攻撃である。JRは辛くもかわした。
(FS:カラテ10、ワザマエ8)
JR「イヤーッ!」
JRのカラテが、他のニンジャのカラテが、ハンドガンが殺到する。
FS「イヤーッ!」
FSは神業めいて回避! しかし!

FS「うおーっ! 薄汚いベトコンめ! ここか! ここか!」
FSは狂っていた。怯えた様子で、敵を探して誰もいない床や天井をバンブーアタックし始めた。
(FSは、攻撃実行に毎ターン難易度NORMALで要判定。判定失敗すると有効な攻撃ができない)
そこに、サンシタたちの攻撃が集中する。

何ターンもの攻防が続いた。しかしシューカイテキセズ!
FS「ここまでか! すまん! グリーンサウルス=サン!」
FSは撤退を選択した。ダクトから逃げていくFS。
LC「俺が追う!」
LCは、スマキとホンダが心配であった。

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01「GSのとどめ、01にやらせて」
「なんで?」
01「トレジャー漁りできてなかったから、資金に余裕がなくて。ふわふわ返済はできるんだけど、次回に向けた修行資金、少しは欲しいんだよ。万札5、ちょーだい」
「仕方ないか」
PC同士は弱肉強食でも、PLの方は、話せばわかる。

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01はGSのとどめに向かった。移動に数ターンと、とどめ自体に2ターンを要した。その間、LC以外の各ニンジャは、部屋内のトレジャーを漁る。
そして、
01「イヤーッ!」
GS「マタミテネ!」GSは爆発四散!
人質は確保済みであり、敵も排除した。
そして、この時のパーティ最大DKKは、LCの15であった。

ミッションはなんとか終了! ネオサイタマの死神は、サンシタたちの前に現れるのか、現れないのか。

2-7.ふたたびの死神

ニンジャたちは散っていた。トレジャーを漁るために。そして、スマキになったオイラン候補を確保するために。そんな中、GSが討伐された。
「マタミテネ!」爆発四散!
ミッションは無事に終了! Wasshoiの判定が行われた!

イチミ最大のDKKを誇るのは、拉致でせっせとDKKを稼いだラッキーキャンサーであった。そのポイント実に15。2d6で下方判定なら、失敗の余地はないよな!?
★「諦めるにはまだ早いぜ!」
なんだと!?

★「ダイスが割れれば、1つのダイス目が6を超えることだってあるんだぜ!」
いきなり闇のゲーム始めんな。あと、2つとも割れても14が精一杯な。
当然Wasshoi判定は成功。
「Wasshoi!!」
殺戮者のエントリーだ!

NS「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」赤黒の殺戮者は、3回の爆発を背負った!
LC「ドーモ、ラッキーキャンサーです」
NS「薄汚いソウカイヤのニンジャめ、そのおなごをどうするつもりだ!」LCの肩では、悲鳴をあげるスマキがモゴモゴしていた!
シブノヤリン(総選挙28位)「助けて! 助けてP!」

LC「無論、救出しに来た!」なんたる欺瞞!
NS「騙されんぞ! 貴様のことはよく知っている! オイランの誘拐! 市民の殺害! そのような殊勝なことのあるわけがない!」
その頃、フロムアニメイシヨンのサントラを流しっぱなしにしていたリアルの遊戯卓では、フジキドのテーマが鳴り始めていた。
LC「イヤーッ!」LCは精神力を消費して連続側転! 非常口へ逃走!

LC「イヤーッ!」
SR(SSR)「イヤーッ!」
仲間(?)が敵を倒したりトレジャーを拾ったりしている間に、PL都合で非常口に近づいていたLCは、割とあっさり逃亡を成功させてしまった!
JR・AN・01・IB のPL「!!???」

LCがいたのは非常口近くの通路。その他のニンジャがいたのは、主戦場であった部屋内。誰一人として、LCの逃避行を見てはいなかった。
LCからのIRC端末が告げる。「ニンジャスレイヤー=サンが現れた。俺は逃げた。ガンバレ」
JR・AN・01・IB「!!???」

4忍はニンジャ反射神経で、自らの考える最善の手段を選択した。すなわち、逃走である。
ANは、トレジャー漁りで多少近づいていた、しかしまだまだ距離を残す正面入り口に。
01・IBは、近いがNSが控えている非常口に。鈍足組は、正面口に逃げても追いつかれて殺されるという苦肉の判断であった。

「「「イヤーッ!」」」
「イヤーッ!」
ニンジャたちのシャウトが響く! 声は勇ましくも、やっていることは逃走である!
そして、AN以外はせめてもの抵抗として、連続側転しながらスリケンを投擲した!
NS「ヌウーッ! イヤァァァーッ!」
JR「イヤーッ!」
NSのヘルタツマキ! JRは奇跡的に全弾回避!

「イヤーッ!」
そして、サンシタのスリケンのうち、一発がNSに命中した!
「グワーッ!」
ん……?

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2-8.翻る反旗

01「ハイ、シューゴー」
「「なんだなんだ?」」
01「これ、忍殺に勝てる可能性、ゼロじゃないんじゃないか?」
「たしかになー」
「勝ったらすごいけどな」
01「俺たちも、忍殺の懐から万札抜こうぜ!」

JR「ただ、俺、負けたら死ぬよな。明らかに的になってるし」「シャー」
01「それで、LCに頼みがあるんだけど。戻ってきて。参加して」
LC「おー? やるか!」
LC(PC)は掛け値なしの外道であるが、LC(PL)は、交渉の通じる相手であった!
01「誰か倒されたら、立ってる奴が引きずっていく。いいな」
PLは合意!

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「イヤーッ!」「シャーッ!」
「イヤーッ!」
「イヤーッ!」キャバァーン!
ジゴクランナーのカラテがニンジャスレイヤーを襲う!
アイアンビッグのスリケンがニンジャスレイヤーに命中する!
そして、ダクトからド外道のエントリーだ! あろうことか、その足でカニパンチを命中させた!

ラッキーキャンサーがスリケンを避ける!「カニの力を見よー!」クソ腹立つ!
アノーニマスが攻撃成功!
レイワンが攻撃成功!
アイアンビッグが攻撃成功 3連続! NMのダイス目が腐る!
ジゴクランナーのカラテがかわされた! ニンジャスレイヤーの回避ダイスも終了だ!

ニンジャスレイヤーのヘルタツマキ! NMは内なるナラクに従ってしまった!
しかしラッキーキャンサーが全弾回避! かわすたびにPLはダブルピースを繰り出す! ハラタツマキ!
その間も集中攻撃が死神を襲う! ネオサイタマの死神は、体力残り3!
数は力! 数は暴力! 暴力はすべてを解決する!

しかし、サンシタの反撃もここまで。
NS「イヤーッ!」
JR「グワーッ!」
ニンジャスレイヤーのスリケンの前に、ジゴクランナーが倒れた!
NS「ニンジャ殺すべし! 慈悲はない!」ニンジャスレイヤーのスリケンがうなる!
ジゴクランナーは爆発四散してしまうのか!?
LC「グワーッ!」

LCはド外道である! しかしLCの中の人は、交渉の通じる相手であった!
かねての盟約に従い、JRをかばった! そして
01「撤退! 撤退!」
サンシタたちは、JRを担いでクモ・スプレッドで撤退していった。
AN「え……?」
正面入り口とちょっと離れたところからハンドガンを打っていたAN以外は。

IRC「「「「ガンバッテネ」」」」
AN「イヤーッ!」
ANは連続側転で数ターンを耐久! サンシタは一人も欠けることなく、むしろスマキの分だけ人数を増やして、キルゾーンから離脱に成功したのであった!

非常口前で混戦を繰り広げるサンシタ&髑髏トークンのNS(手前)と、安全圏に見えてそうでもないところから援護するAN(奥)の図。

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ANは逃げた。そして逃げ切った。
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2-9. イクサの価値は

現場の離脱から数時間後、サンシタたちは偉大なるソウカイヤの首魁、ラオモト・カンの前に控えていた。彼らの背後に控えるはソウカイ・シックスゲイツのスカウト部門筆頭、ソニックブーム。ネオサイタマ市民! 楽しい楽しいデブリーフィングの時間です! ソウカイヤへの奉仕は義務!

ラオモト・カン(RK)「では、聞かせてみよ。貴様らはどうワシの役に立った」
最初に名乗りを挙げたのはアノーニマス。
AN「ラオモト=サン。私は今回もチテキに活躍しました。敵陣の情報をハッキングして作戦立案に貢献し、戦闘でも活躍。ニンジャスレイヤー=サンとの戦闘でも挟撃体制を作ったのです」

RKはソニックブーム(SB)を見た。今回は首を傾げることもなく、SBはうなずいた。
PL的に思うところがあったりしても、ANがイチミのエースとなりつつあるのは事実であった。実際貢献。

次に名乗りを挙げたのは01であった。
01「俺は今回からの新参ではありますが、戦闘と作戦立案の両面で貢献しました! 決してセンパイたちに引けはとっていないはずです!」

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NM「なにを興奮してるんだ」
01「ごめん、ちょっとパラノイアのデブリーフィング入ってた」

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RKはSBを見た。
SBは、そっすね、という感じで頷いた。

次はJR。
JR「戦闘では私です! 敵バイオニンジャ、そして乱入してきたフォレスト・サワタリにも、痛手を与えたのは私です」
保護対象もぶっ殺してたけどな。
とはいえ、自称された戦績自体には、異議のある者もいない。SBもそっすね。
「シャー」

IB「お、おで、頑張った。ワタシノナマエハ、アイアンビッグ=サンです」
RK「そうか、オヌシはカラテが強そうだな」
BH=サンなNMのRK=サンは、とても優しかった。

LC「俺は、ヨロシサンの社員を積極的に保護しましたしー。戦闘でもやっぱり活躍しましたよ。一度撤退しながらも任務のために戦場に戻るこの献身! くぅー! 感動的だなぁ!」
あれは保護じゃない。誘拐というのだ。でも、正義の組織でないソウカイヤ的には、割とアリであった。

すべてのプレゼンを受けて、ラオモトの評価はA。
RK「ムッハハハハ! 貴様ら! 大儀であった! ヨロシサンには恩を売り、敵バイオニンジャは排除。乱入してきたニンジャも、撃退したならよしとしようではないか。ニンジャスレイヤー=サンも、じきに排除してくれようではないか」

サンシタには、万札がふるまわれた。パーティーで50万札程度だったろうか?
「「「「ありがたき幸せ!!」」」」

そして、DKKロンダリングである。挑戦したのは、LCとJR。
結果は、驚愕のものであった。

ラオモト・カンは、ラッキーキャンサーの目を正面から見つめた。
「ヌウ……」
そして、ラッキーキャンサーに告げる。
「リー先生のラボへ行け。お前のニンジャソウルを確かめる必要がある」
ブッダシット! 非道な行いは強力なニンジャソウル故であったのか!? まさかの出目12である!

なお、続くセッションではプラグインの持ち主がいなかったため、現状でラッキーキャンサーのニンジャソウルの正体は判明していない。

そして、ジゴクランナーである。
RK「フム……。いい面構えをしている。ヤクザの目だ」
まさかの出目9である。ジゴクランナーのカラテは6である。限界突破である!!!
「おおおおお!!」
「シャー!」
ジゴクランナーのカラテが、7に到達した。

こうして、今回の戦いは終わった。
サンシタ・イチミはまたしても生き残った。
誰か、ラッキーキャンサーの暴虐を止めてくれ。
ブッダ。ニンジャスレイヤー。世界は君たちを待っている。

■■■■次回予告■■■■

??1「プランは完璧。これで業界は俺たちのものさ」
??2「素っ晴らしー!」
??3「俺たちにお任せなのである」
??1「かわいい子がいっぱい来るぞー」
暗躍する敵ニンジャ! 悪逆非道のサンシタ・イチミ! 勝つのはどっちだ! 近日公開! できるといいな!

あと、肉バズるか?

ながながとツイートする余力はないので、当日の肉模様をお楽しみください。
それまでは昼食でスシやピザを食べていましたが、「せっかくいい肉なら、心置きなく飲みたい」という01のリクエストから、宴会がプレイ後になりました。「残すの嫌だ」と少なめの肉を提案したら、一瞬で消えました。後悔。

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(ユーマ・レベリオンズ・イン・オフィス おわり)


Written by gimpei_osawa in Games on 2020年 8月 7日(金). Tags: ニンジャスレイヤー, リプレイ, サンシタ・イチミ,